日本国際観光映像祭に応募すべき「5つの理由」

日本国際観光映像祭に応募すべき「5つの理由」

新しい年を迎え、第7回日本国際観光映像祭に向けた準備が本格化しています。映像祭に合わせ、第一弾のトレーラーを発表しました。今年のテーマは「森と人々、美しき暮らしの継承へ」です。

 今回の開催地である岡山県真庭市は、木材加工の町として広く知られています。特に近年では、大阪・関西万博の「巨大リング」の建材として知られるCLT(直交集成板)の主要生産地です。その背景には、真庭ならではの風土と歴史があります。
 真庭市は、かつて美作国の重要な宿場町であり、出雲街道をはじめとする多くの街道が通る要所でした。また、豊かな森に恵まれ、そこで育まれた文化が今日の真庭の基盤を作っています。真庭の気候は、良質なヒノキやスギの生育に適しており、多くの製材所が発展しました。さらに、サステナブルな取り組みとして、木材加工で生じた端材や木粉を活用したバイオマス発電が行われ、市内の電力供給にも貢献しています。今回発表したトレーラーでは、これら真庭の特徴を紹介しています。
 真庭市は広大で、多彩な魅力を持っています。森の町としての顔、木材加工の町としての顔、さらには良質な温泉や歴史情緒あふれる城下町としての側面もあります。自然と人間が織りなす美しい共生の姿がそこにあります。

真庭市内の製材所

 国際観光映像祭という言葉は、まだ一般には馴染みがないかもしれません。しかし、これからの日本の観光を考えるうえで、欠かせない存在となるでしょう。その意義を以下に、「日本国際観光映像祭に応募すべき5つの理由」として述べます。

日本国際観光映像祭に応募すべき5つの理由

  1. 観光映像の認知度を向上させる
  2. 映像の価値を高める
  3. 望む観光客に届ける
  4. 人とのつながりを得る
  5. 「大切な何か」のヒントを得る

1. 観光映像の認知度を向上させる

 観光映像は、YouTubeにアップロードするだけでは完成ではありません。その映像を多くの人に、そして「来てほしい観光客」に届ける必要があります。現在、YouTube広告で視聴回数を稼ぐ方法が一般的ですが、ニュースバリューを作ることがさらに重要です。観光映像祭での入賞や受賞は、メディアにとって報道しやすい「ニュース」となります。
 また、映像祭では入賞作品を対象に観客賞を設けています。映像祭のウェブサイトで入賞作品を公開し、最も多くの視聴数を獲得した作品に観客賞を授与する仕組みです。この仕組みにより、制作側が視聴を呼びかけやすくなります。さらに、映像祭のディレクターや審査員が入賞作品に関する記事を書くこともあります。これらを通じて、皆様の映像のブランディングに貢献します。

2. 映像の価値を高める

 私自身、日本国際観光映像祭のディレクターであると同時に映画祭の運営者であり、映画制作にも携わっています。私の映画が劇場公開されたのは、受賞歴があったからです。受賞は、映像の価値と信頼を高める力を持っています。

 また、日本国際観光映像祭(JWTFF)はアジア唯一のCIFFT加盟映像祭です。CIFFTは1989年から続く国際観光映像祭ネットワークであり、それぞれの映像祭での受賞ポイントによって世界一の観光映像祭を選出するCIFFT CIRCUITという仕組みも持っています。こちらについては詳しくは以下のページを読んでください。

3. 望む観光客に届ける

 観光地の価値を高めるためには、「望む観光客」が訪れることが重要です。ただ多くの観光客が訪れることではありません。観光映像には、適切なメッセージを込める必要があります。

 少し古いですが、ハワイ州の観光映像が参考になります。

 この映像は、ハワイ島が求める観光客とサステナブルな観光を目指す観光客をターゲットに、理想的なマッチングを目指しています。このように、観光映像祭は映像を介して観光地と観光客を結びつける大切な場となります。

4. 人とのつながりを得る

 観光映像はまだニッチな分野です。自治体やDMO、映像制作者の間で情報交換や経験共有が十分でない現状があります。観光映像祭では、発注者と作家が集い、議論を交わしながら新たな仲間を見つける場にもなっています。皆様もぜひここで新しいつながりを築いてください。

第6回日本国際観光映像祭。相原正明氏撮影。

5. 「大切な何か」のヒントを得る

 最後は抽象的な表現です。しかし、世界的に評価された作品をつくってきた映像作家がみんな言うことです。観光は確かに商業活動です。しかし、そこに人間がいる限り「大切な何か」があるからこそ、人は感動し、その観光地に向かうのです。その「大切な何か」を伝える映像を制作するヒントが、観光映像祭にはあります。

 日本部門の観光映像の募集は、202512021:00まで延長しています。たくさんのご応募をお待ちしております。

執筆者プロフィール

木川剛志

日本国際観光映像祭総合ディレクター
和歌山大学観光学部教授

1995 年京都工芸繊維大学造形工学科入学。在学時よりアジアの建築、特にジェフリー・バワに興味を持ち、卒業後はスリランカの設計事務所に勤務する。2002 年UCL バートレット大学院修了。2012 年に福井市出身の俳優、津田寛治を監督として起用した映画「カタラズのまちで」のプロデューサーをつとめたことから映画製作に関わるようになる。監督として2017 年に短編映画「替わり目」が第9 回商店街映画祭グランプリ、2021年にドキュメンタリー映画「Yokosuka1953」が東京ドキュメンタリー映画祭長編部門グランプリを受賞し、同作品は2022年から全国公開中。観光映像では須藤カンジを監督に起用しプロデューサーと撮影をつとめた「Sound of Centro」がART&TUR 国際観光映像祭でポルトガル観光誘客(都市)部門最優秀作品賞。2019 年より日本国際観光映像祭実行委員会代表、総合ディレクターをつとめている。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA