2023 Edition

これからの日本のために

 映像は人々の感性に直接語りかけ、そして、メディアを通じ多くの人々に同時に届きます。だからこそ、地域が疲弊し、しかしながらそこには確かに残る“地域の魅力”を活用して、観光客を誘致し蘇らせる、リジェネラティブ(再生)には、映像の力が必要です。

 観光映像はこのような日本の再生のために活用すべきツールです。今も全国津々浦々で観光映像が制作され、私たちに地域の魅力を伝えてくれます。しかし、この映像の作り方、使い方にはまだまだ改善の余地があります。新型コロナウイルスの拡大が始まる前、全国で広がる観光の投資の中で、多くの観光映像が制作されましたが、一方で問題のある映像も多く生まれました。それは観光映像が、商業CMとも映画とも違う、一つの確立すべきジャンルであるにもかかわらず、観光映像を専門とする映像作家が少ないからです。事実、諸外国にはフランスやスペインといった、観光で生きることを選んできた国があり、それらの国では観光映像のあり方は数十年にわたって議論されてきました。日本が観光で生きていくことを決めた国となった今、観光先進国から観光映像のあり方を学び、同時に国内の映像作家を観光業界をあげて育成する必要があります

 日本国際観光映像祭(JWTFF)は、このような背景から2019年から始まった映像祭です。2020年に、UNWTO(国連世界観光機関)が認定する国際観光映像祭ネットワークCIFFTに正式加盟し、アジア唯一の構成映像祭として、日本の映像だけではなく、アジアの観光映像を世界に紹介する役割も期待されています。本映像祭では、日本の優れた観光映像を表彰するとともに、世界から届いた最先端の観光映像を紹介してきました。

 今年の第5回日本国際観光映像祭は、滋賀県大津市堅田地区を中心に琵琶湖で開催します。

テーマは「水との暮らし、祈りの空間へ」です。

 新型コロナウイルス拡大の時代を経て、これからの日本の観光のあるべき姿を考える時に、滋賀県から学ぶことは多くあります。映像祭では開催地、滋賀県の地域のストーリーを見出し、それを世界に届ける企画も行います。