前回のコラムで、ポルトガルのART&TURとスペインのTerres Travel Festivalへの応募のお誘いを書きました。それを読んだ方からFilmFreewayでの応募のやり方を詳しく教えて欲しいと、何人かからリクエストをいただきましたので、少し紹介いたします。
1.まずはアカウントを作りましょう。
応募するには、まずはFilmFreewayでアカウントを作る必要があります。以下のサイトにアクセスしてください。FilmFreewayのサイトに繋がります。

FilmFreewayはおそらく世界最大の映画の応募プラットフォームです。他にも同様のサイトはあるのですが、日本国際観光映像祭をはじめ、CIFFT加盟映像祭のいくつかはこちらをつかって応募ができます。ART&TURは今年はFilmFreewayだけで応募から、審査まで行います。Terres Travel Festivalは映像祭ホームページからもFilmFreewayからも応募ができます。
特徴としては、応募ができること、そして私も二つの映像祭の審査員をつとめているのですが、こちらで審査ができるこがあります。また、後に述べますが、公開設定をいじれば、ご自身の映像の紹介サイトのような役割を担うこともできます。では、まずはアカウントを作りましょう。

Sign Upからアカウントを作るのですが、上の画面の「I want to submit my work or get tickets to festivals」を選んでください。FilmFreewayでは、応募者側と映像祭の運営もしくは審査員は全く別のシステムにつなげることになります。なので、木川の場合は応募の時と、日本国際観光映像祭の運営の時と、違うアカウントでログインしています。
2.プロジェクトを作成してください(一つの動画につき一つずつ)
映画祭の応募用のアカウントができたら次はプロジェクトを作りましょう。My ProjectsのタグからAdd a Projectを選んでください。

Project Typeは観光映像であればFilm/Videoです。そしてProjectタイトルに作品名を入れて、あとは情報を随時書き込んでいきます。タイトルさえあれば、あとは無くてもとりあえず応募はできますが、審査員としては映像の情報も審査対象なので、できるかぎり詳しく書いてもらった方がいいとは思います。
映像の情報をいれると、次にオンラインで閲覧するURLの入力場面があります。ここで動画をアップすることもできます。もしくは、YoutubeかVimeoのパスワード付きで掲載することもできます。おそらく観光映像だとYoutubeですでに公開されているのでYoutubeのURLを入れるので大丈夫ですが、長編や短編の映画の場合は、閲覧を制限する必要があるので動画をそのままアップして閲覧を応募した映画祭の人だけにしか見れないようにするか、Vimeoでパスワード付きがおすすめです。
以下のスクリーンショットからもわかるように、先ほどいれた情報は以下のように反映されます。縦型のポスターを載せたり、劇中写真なんかも載せておくと、審査員が見る時に内容がわかりやすいので、ありがたいです。
ここでは例として、JWTFF2024で製作した、景山直恵監督の「May Waitan DAYS Yoron Island」を参考例としてあげます。

また、監督の写真や経歴も重要です。特に、映画祭や映像祭は、初めての監督作品や、学生作品については割引制度を用意してたりするのもありますし、日本国際観光映像祭は学生部門があったりもしますので、監督の背景は参考にしたりします。プロジェクトのページができたら、いよいよ映画祭への応募です。
3.映画祭へ応募する
応募用アカウントでログインすると、世界中の映画祭情報が見れます。ここではポルトガルのART&TURへの応募のやり方を例として載せます。ART&TURを検索してください。

映像を募集中の場合は「Submit Now」のボタンがあるので、そちらを押します。また、「View Festival」も参照してください。特にRuleのところは熟読する必要があります。応募条件としてはART&TURの場合は2022年1月1日以降に完成した映像、尺は15分まで、という縛りがあります(尺については観光映像の場合。ドキュメンタリーの場合は長尺も応募できます)。
プロジェクトがあれば応募は簡単なのですが、観光映像祭の場合は、そこからカテゴリーの選択や審査に必要な情報がそれなりにあります。

一番上のプルダウンメニューから応募したい映像のタイトルを選びます。そして、ART&TURの場合は、結構カテゴリーが多いのですが、三つ以上選べるので当てはまりそうなのを選んでください。ただ、観光映像の場合は
「Tourism Desinations Country」
「Tourism Destinations Regions」
「Tourism Destinations Cities」
「Tourism Products」
「Tourism Service」
のうちのどれか一つはチェックしてください。また、これら5つについてはどれか一つだけを選ぶようにしてください。これらはCIFFTにおける主要部門なので、どれかに映像は属することになるので、二つ以上になると審査の段階でややこしくなるので、場合によっては採点で不利になることもあります。
ヨーロッパなので支払いのVATナンバーを書くようにとでてきますが「None」と書いておけば大丈夫です。多分(応募はできますし、木川はそれで問題になったことはありません)。
映像祭から求められる項目を記入したら、次は支払いです。木川の場合、月々課金しているGold Membersなので、応募費用が少し安くなっていますが、以下のような画面が出てきます。

クレジットカードも含めていろいろな支払い方法が選べます。そして大事なのは、Discount Codeを入力するところです。JWTFFでは、ART&TURもTerres Travel Festivalも日本からの映像については、まだ数が少ないこともあって、ディスカウントするよ、と言ってもらっているので、木川まで問い合わせてください。数に限りがありますが、提供いたします。
これで応募は完了です。ただせっかく、プロジェクトを作り、そこに映像の情報を載せているのであれば、それは活用したいところ。デフォルトでは、ここまでの情報は応募した映像祭関係のみに提供されるのですが、それを一般に公開することもできます。以下の「My Projects」タグから「Privacy」を選んでください。

Project Visibilityで映像祭だけ、とかパスワード入力で見ることができる、もしくはオープンアクセスにするか、の設定ができます。または映像や映画のトレイラー(予告編)と情報までは見れるようにして、本編は見れないようにする。また、映像祭が本編の動画をダウンロードできるかどうか、などの細かい設定をすることができます。
観光映像の場合は、すでにYoutubeで公開されていることも多いと思いますので、人の目にふれるようPublicで公開するのもありではないか、と思います。最後に例としてあげた景山直恵監督の「May Waitan DAYS Yoron Island」のプロジェクトを公開しておきます。ポスターをクリックするとプロジェクトに飛ぶことができます。
ぜひに世界に映像を紹介し、そして受賞してください。がんばりましょう!
執筆者プロフィール

木川剛志
日本国際観光映像祭総合ディレクター
和歌山大学観光学部教授
1995 年京都工芸繊維大学造形工学科入学。在学時よりアジアの建築、特にジェフリー・バワに興味を持ち、卒業後はスリランカの設計事務所に勤務する。2002 年UCL バートレット大学院修了。2012 年に福井市出身の俳優、津田寛治を監督として起用した映画「カタラズのまちで」のプロデューサーをつとめたことから映画製作に関わるようになる。監督として2017 年に短編映画「替わり目」が第9 回商店街映画祭グランプリ、2020 年にドキュメンタリー「Yokosuka1953」がReykjavikVisions Film Festival 最優秀長編ドキュメンタリー映画賞、Vesuvius International Film Festivalにて最優秀ドキュメンタリー脚本賞などを受賞。観光映像では須藤カンジを監督に起用しプロデューサーと撮影をつとめた「Sound of Centro」がART&TUR 国際観光映像祭でポルトガル観光誘客(都市)部門最優秀作品賞。2019 年より日本国際観光映像祭実行委員会代表、総合ディレクターをつとめている。
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