ポルトガルの観光映像祭ART&TURで日本の作品も受賞!

2024年10月22日から25日まで開催されていたポルトガルの観光映像祭 ART&TUR LOUSÃ大会が閉幕しました。日本からの応募作品では3作品が受賞しました。本当にうれしいことです!

さて、この映像祭を少し振り返りたいと思います。

今回の会場となったロウザンは、2018年に初めてART&TURに参加した時に、Factoryで訪れていた場所でした。当時の学生、川島拓君も撮影監督として活躍してくれました。川島君が作ってくれた旅映像があります。今見ると、本当に懐かしい。

ここに映っている石造の美しい街、それがシェールビレッジ、 XISTOと呼ばれるところです。この映像にも、火事で焼けた森が映っています。これは2017年に起こったポルトガル中部の襲った山火事によるもので、2018年のレイリアで開催された理由は、この地区の復興のためでした。

そのレイリアから始まった一つの企画が、Factoryでした。授賞式のために多くの映像作家がポルトガルにやってくる。せっかくならば、その参加者たちに少し早くポルトガル入りしてもらい、開催地の映像を撮ってもらおう。それもコンペティションにしよう、というそういう企画でした。

越前屋俵太さんを監督に起用し、木川がプロデューサーと学生の川島拓君が撮影監督として撮った映像は、賞は取れませんでした。しかし、その時は、南アフリカ、インド、オランダ、ブラジル、ポルトガル、日本と様々な国から参加があり、撮影の合間に行う交流がとても楽しかったことを覚えています。

そんな第1回の受賞作品がブラジルチームが制作した”Inside”でした。

一人の女性が自分の部屋に飾っている写真の真ん中に何かが足りないことに気づく。そこを埋めるためにポルトガル中部を旅行し、風景や地元の方との交流で、新たな写真を手にいれるというストーリーです。いやぁ、本当に企画からして上手い。

ブラジルチーム。両端の二人が2018年からのメンバー。

左端のブルーノと右端のマルコは、JWTFFのFactoryで甲賀市の観光映像をつくってもらったこともあります。彼らがいうのは「俺たちは体験を撮るんだ」ということ。まさしく観光映像を専門とする映像チームです。

さて、映像祭に戻ります。映像祭をいつも盛り上げているのはインドネシア大学の先生でもあり、審査員をつとめるYanki先生です。どこにいっても彼女が自撮り棒を持ちながら写真を撮る瞬間に出くわします。

賞レースなので、緊張感が伴いがちな映像祭。その会場をいつもリラックスされてくれる人です。

授賞式は25日の17時からでした。その日は朝に集合してエクスカーションに出かけます。いった場所はXISTOの一つであるCandal。ロウザンの中心からは車で20分程度で行ける場所にあります。

1950年代、60年代ぐらいまでは多くの住民が暮らしていた村だったのですが、やはり丘陵地ならではの大変さもあって前世紀末までには廃墟のようになっていたXISTO。それらの美しい風景と暮らしに脚光が浴びるようになったのは2000年頃からだったそうです。移住者が増え、今は観光が主たる産業として少しずつ投資が進んでいるそうです。村の散策は結構大変でした。上まで登る頃には息が切れました。

色々とトラブルもあったのですが、街の中心部に戻って、一旦ホテルに戻って着替えます。やっぱりヨーロッパの授賞式なんで、みなさん、着飾って華やかです。

今回もFactory、開催されていました。ただ、今年は実験的な試みとして、次世代を担う学生たちチームを中心としたコンペティションです。中国チームとイタリアチームが参加。

左の3人が中国は温州から参加した中国チーム。真ん中が審査委員長のAldo先生。そこから右側の3名がイタリアから参加したチームです。あと、Yankiも。この試みはほんとうに応援したくなるものでした。国際映像祭で、世界中の方から見てもらえる映像を、学生たちがつくること、そこで得られる経験はなにものにも変えがたいものです。そして想像を超えるクオリティーの映像作品をあげてきました。

日本からもいつか学生チーム、参加させたいな、と願うばかりです。

授賞式の冒頭では、ブラジルチームのマルコとブルーノが表彰されていました。私が参加した2018年以降、彼らはずっと勝ち続けてきました。途中、日本チームと同率首位になったこともありますが、やはり勝ち続けてきたのです。そして彼らはFactoryを卒業して、後進を育てる側にまわるとのこと。今回もイタリアチームは彼らのサポートによって制作したそうです。なるほど、だからこそ、あれだけのクオリティ。

今年のファクトリーでは、中国の映像も本当によかったのですが、イタリアチームが勝ちました。いつか、日本の学生チームに勝ってほしい!

結論を先取りしますが、映像祭を代表する作品となる国際グランプリはスイス観光局の作品、Grand Train Tour of Switzerland. The Ride of a Lifetimeでした。

この作品はスイスの鉄道を舞台とする作品なのですが、たぶん、英語が苦手な方も見たらわかる楽しい体験の映像です。上映された時、会場からは大きな笑い声が聞こえてきました。

そして、日本の作品の受賞。今回は伊藤広大監督の作品と石田裕一監督の2作品がノミネートです。伊藤広大監督もポルトガルの会場まで来られて、賞の行方を見守っておられました。

伊藤広大監督と審査委員長のアルド

伊藤さんの作品は「AINU CULTURAL NEXUS : Blending Past Wisdom With Future Creativity」。
JWTFFの阿寒湖ファクトリーで制作されたものです。

会場で上映される様子も見守っていましたが、ポルトガルという日本から遠く離れた場所で、足繁くかよった阿寒湖アイヌコタンが大きなスクリーンに映し出されるのを見て、なんか不思議な感覚に陥りました。同時に誇らしい。

そして伊藤監督の作品は、ART&Creativity部門で金賞!

伊藤監督、おめでとうございました。

やはり世界最先端の観光映像を鑑賞し、その映像の議論を行う場所。この場所にもっと日本の監督たちが集い、その空気を感じて日本に持ち帰る、いやむしろ、日本の映像の素晴らしさを海外に届ける、そういう流れを強めていきたい。そう感じました。

最後に伊藤監督と飲むお酒はおいしかったです。さて、これからリスボンに移動です。

木川剛志(JWTFFディレクター)

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