JWTFF企画プロデュース作品がスペインで受賞しました


2023年3月14日から16日まで、滋賀県大津市で第5回日本国際観光映像祭を開催しました。この映像祭の企画の一つとしてART&FACTORY JAPAN(以下Factory)を行いました。Factoryは世界各国から優れた映像作家を招待し、地域の観光映像を制作し、映画祭で上映し、最優秀作品を選ぶコンペティションです。そして映像祭の企画で制作したこれらの映像を地元に提供し、優れた観光映像によって地域に貢献する企画です。

第5回日本国際観光映像祭では与論島に2組、開催地である滋賀県に2組の計4組のチームを招待して開催しました。滋賀県高島市を舞台とした「葦鯉高島/ヨシコイタカシマ, Come Visit Takashima」は第5回日本国際観光映像祭において、最優秀作品2本のうちの1本として選ばれました。

「葦鯉高島/ヨシコイタカシマ, Come Visit Takashima」をスペインの著名な観光映像祭、Terres Travel Festivalに応募したところ、同映像祭のドキュメンタリー部門において「Sustainable tourism and ecology」賞を受賞しました。同映像祭はドキュメンタリー映像と持続可能性を重要なテーマとしている映像祭であり、ここにおいてこの賞を授与されたことは快挙です。

目次

Come Visit Takashima, 葦鯉高島/ヨシコイタカシマ

Come Visit Takashimaは秋田県を拠点とする若手の映像製作グループOutcropが制作した作品であり、彼らが訪れた高島市で出会った住民たちとの交流によって理解された、琵琶湖の水との暮らしを“持続可能性”の視点からその豊かさを見出した作品です。制作は高島市の株式会社 澤村様の御協賛、全国のクラウドファンド協力者の応援によって行われました。また、多くの高島市民の出演の協力がありました。高島市の魅力が世界で評価されました。監督はOutcropの松本トラヴィスさんがつとめています。

作品は以下のサイトから見ることができます。

Come Visit, Takashima

 

映像は滋賀県高島市の琵琶湖の風景から始まります。近年、観光スポットとして注目されている白髭神社も朝やけの中とても綺麗です。そして、松本監督は、その水の故郷に今も生きる「水との暮らし」を探していきます

彼らがまず向かったのはヨシ焼きの現場です。琵琶湖では葦のことをヨシと呼び、古くから琵琶湖周辺の人々の生活を支えていきました。それは人々だけではなく、琵琶湖に住む水生動物にも大事な住処を提供します。なぜヨシ焼きが必要か、松本監督は地元の人たちに聞き、そしてヨシから生まれた文化、よし笛のことを聞きます。

場所はよし笛の合奏会場。流れる曲は琵琶湖周航の歌。高島市で生まれ、今も歌い続ける琵琶湖の歌が流れる中、監督たちは針江に向かいます。

高島市針江地区は、その独特な生活スタイル、川端(かばた)とともに生きている町です。針江には比良山系の伏流水が豊富に流れ、至る所に水は湧き出します。それを人々は生活用水の設備、かばた、として各家庭が使います。生活用水は地域に住む鯉にとっても豊かな環境。針江はそんな環境とともに生きるまちでした。

水のつながりは人のつながり。その豊かなまちの魅力を松本監督は一つのストーリーに紡ぎ、今回の受賞となりました。受賞にあたり、監督をつとめた松本トラヴィスさんは「受賞してうれしい。この映像をきっかけに、自然と共生し、持続可能な暮らしのある高島市を訪れる人が増えてほしい」とコメントを寄せてくれています。

針江地区は2004年にNHKが制作した「NHKスペシャル 映像詩 里山 命めぐる水辺」があり、翌年にイタリア賞を受賞したことで、全国的にもよく知られた町となっています。今回のTerres Travel Festivalの受賞で、さまざまな観光が広がる今だからこそ、重要な“環境教育”の場としてもっと知られてほしいと思います。

Terres Travel Festival, member of CIFFT

Terres Travel Festivalは2018年から開催されているスペインを代表する国際観光映像祭です。1989年から始まっている世界最大の国際観光映像祭ネットワーク、CIFFTの正式メンバーに2019から加わっています。スペインカタロニア州トルトサで開催されており、近隣にUNWTOの本部があることもあり、映像祭には環境に配慮した観光のあり方を考える国際機関の関係者が多く参加することで知られる映像祭です。また、代表のSanti Valldepérezがドキュメンタリー映画監督であることもありドキュメンタリー部門に力をおいている映像祭です。

授賞式の模様です。今回のCome Visit Takashimaの受賞シーンをご覧ください。

2023年9月8日から16日まで開催された今回のTerres Travel Festivalには26カ国から127本の映像が正式エントリーをしています。

補足情報

監督 松本トラヴィス

秋田県秋田市を拠点とする映像製作チーム Outcrop取締役。国際教養大学在学時より映像製作を行い、盟友 栗原エミル(Outcrop代表取締役)とともに起業する。また、Outcropは秋田市内の民家を映画館として改装し、小規模映画館も運営している。秋田県の伝説的なだいこん、沼山大根の復活にかける人々をおったドキュメンタリーを在学中に制作し、同作品で全国地域映像団体協議会の学生部門で最優秀賞である文部科学大臣賞を受賞する。

Terres Travel Festival
テレストラベルフェスティバル
 

スペイン カタロニア州 トルトサを開催地として2018から開催している国際観光映像祭。2019年からCIFFT正式メンバー映像祭。映像祭の代表はSanti Valldepérez氏。スペインは毎年世界において、フランスと世界一位の旅行者数を競う、観光先進地であり、特にカタロニア州は世界で最も早くオーバーツーリズムを経験したと言われるバルセロナを持つ地域であり、持続可能な観光について長く、そして深く議論してきた。Terresは特にドキュメンタリー部門が厚いことで知られている。

株式会社澤村(協賛)

1950年琵琶湖西北の高島市に誕生した株式会社澤村は、住宅、店舗、オフィス・工場・倉庫、病院・福祉施設、観光施設等の設計、施工、リノベーション、土地活用、不動産売買等を手掛ける総合建設会社である。びわ湖テラスの施工などを担当してきた。ブランドミッションとして「すべての方々のミライをひらくきっかけを創造する」を掲げる。営業・設計・施工管理が部門の垣根を越えた最適なチームを作り、設計から施工管理まで一貫体制で進行することを強みとしている。

日本国際観光映像祭 
Japan World’s Tourism Film Festival 

2019年2月に、和歌山大学観光学部の木川剛志を総合ディレクターとして立ち上がった日本初の観光映像に特化した映像祭。2021年より世界最大の観光映像祭ネットワークCIFFT(1989年設立、本部ウィーン)の正式加盟映像祭となり、アジア唯一の加盟映像祭として、アジアの観光映像の中心的な観光映像祭である。第5回は2023年3月14日から16日まで、滋賀県大津市真野浜で開催した。

木川剛志 JWTFFディレクター

和歌山大学観光学部教授。1976年京都市上京区上七軒界隈生まれの滋賀県大津市育ち。1999年京都工芸繊維大学造形工学科卒業、2002年 The Bartlett School of Graduate Studies, University College London修士課程修了。帰国後、京都工芸繊維大学機能科学専攻博士後期課程に入学し、2006年博士(工学)。同年、福井工業大学経営情報学科講師。福井県でまちづくりに関わるうちに映像製作を覚える。2015年、日本で唯一の国立の観光学部を持つ和歌山大学に異動し、現在に至る。Japan World’s Tourism Film Festivalを立ち上げ代表をつとめる。

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • AIU在学中に文部科学大臣賞を獲得した 松本トラヴィスクンの並外れたセンスと才能は『沼山からの贈り物』1本を見た者は感じずにはいないでしょう。
    会社設立後の活躍ぶりも目を見張るスピードで、将来が楽しみな青年デス。

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