Pick Up 観光映像
【海と光】(屏東で会おうね!Let’s meet in Pingtung! 我們在屏東見吧!)
昔から台湾が好きでした。それは台湾がいろいろと僕に教えてくれるからです。台湾に初めて行ったのは、博士課程の学生の時に台湾の学会に応募し、現地で発表をした時だったと思います。向こうの先生と学生に本当によくしてもらい、そして台湾の図書館に行き、統治期の膨大な日本語で書かれた資料を見た時、統治期の簡単ではない現地と日本人の関係。
教員になってからも研究に行き詰まると、僕はいつの間にか、台湾の地図を眺めてて、都市の形を見てはその形成の歴史を想像し、気がつけば現地に行っています。台北も好きですが、普通の観光ならば滞在することは少ない、基隆や羅東、台東で数日間、町歩きをするのが大好きです。異国情緒の中に自分の身を置きながら、台湾と対話しているようで結局自分のこれからを考えている。旅、というものを感じる場所です。
そして、今回紹介する映像も、台湾の観光映像です。台湾の南部の都市、屏東の観光誘客映像です。映像を作ったのはSandyさん。台湾の名前で黃小玫さん。日本でも「台湾で会おうね」がバズったのでそちらでご存知の方も多いかもです。日本にも留学経験があり、日本語も流暢な彼女は、日本語で台湾を紹介する楽曲を歌い、それに映像を載せて行きます。この映像は屏東で開催される台湾最大のランタン祭りに合わせてつくった誘客映像です。
今のところ、世界の観光映像の鉄則は3ミニッツ、ノーデータ、ストーリーテリングです。ノーデータというのは映像の中にナレーションやどこで撮影されたかなどの観光情報を入れずに、感覚に直接語りかけるということ。ストーリーテリングは旅に人を誘うために没入させる物語を形成することです。3ミニッツは3分ぐらいがデジタルマーケティングでは効果的だということです。
もうご存知だと思いますが、この鉄則の法則にはこの映像はあっていません。しかし、この映像の持つ魅力はそういう法則を飛び越えています。この映像が応募された頃、観光映像祭を開催するためにいろいろ心をすり減らしていた僕には、この映像は本当にどうしようもなく魅力的に映りました。屏東の豊かな自然、曲の素晴らしさ、そしてSandyさんの魅力、これ以上の観光映像はそんなにないんじゃないかと思いました。
ただ、審査に困ったのも確かなのです。というのはこれは国際部門なのか日本部門なのか。審査員の中には日本部門のグランプリに推す声もありました。それもあって、急遽、東アジア部門を作りました。もちろん日本も東アジアの一つの国なのですが、うちの映像祭の今後のビジョンとしては東アジアのハブとなることを目標としているので、まずは応募の多い台湾を中心とした映像部門としました。そして第1回の東アジア部門の最優秀作品にこの作品は選ばれました。
日本国際観光映像祭では、受賞があることの連絡は事前に行います。どの賞なのかは当日の授賞式で発表します。彼女が入賞したことは現地でニュースになり、ホームページにその日だけで1000人以上がアクセスがあり、びっくりしたことを思い出します。そして受賞式の模様は台湾の現地に配信されその映像は1時間で9万人のViewがあり、30社近くのニュースサイトで受賞は報じられました。そのうちの一つがまだネットにあったので、以下に紹介します。
「台湾で会おうね!」制作者の屏東PR映像が日本国際観光映像祭で受賞
やはり、観光映像は観光という営利にも非営利にも世間で捉えられる絶妙なバランスで作られるものです。あからさまな営利的キャンペーンは視聴者に届きにくいですが、そこが応援したい!という気持ちが生まれる形で展開されると、多くの人に届き、効果が現れる映像になると思います。経済的価値から社会的価値へ。ビジネスではなく趣味で。こういうことが大事になってくるのかもしれないです。
台湾に行けるのはまだ先になりそうですが、南部の台湾の魅力を映像でしっかりと受け止めて、また旅してみたいと思います。
映像は以下のリンクから。
http://kitamaetei.info/aiovg_videos/105_2019/
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