「姫だるま」~再び受け継がれた伝統~

私は宮崎県出身ということもあり、大分県内の伝統工芸品と聞くまで“姫だるま”の存在を知らなかった。だるまと聞いて思い浮かぶのは、目力のものであるため、初めて姫だるまを見た時は、「こんなに穏やかな表情のだるまがあるのか」と驚いた。さらに調べていくと、姫だるまは途絶えていた時期があったという。再興した後藤恒人さん(故人)は、誰からも教わらず、たまたま残っていた古いだるまを参考に自ら製法を編み出したという。一人の決意が形となり、今もなお受け継がれている、そのドラマを少しでも多くの人に知って欲しいと思った。
真剣な目つきで、一つ一つ丁寧に作業を進める二代目の明子さんと三代目の久美子さん。その姿は、まさに職人。一つ出来上がるのに一週間もかかるという。なぜそこまで時間がかかるのかと尋ねてみたところ、どの工程も次に進む前にしっかり乾かす必要があるためだと知った。自分が想像していたより、はるかに手間のかかるものだった。久美子さんが姫だるまのことを「うちの姫」と呼んで話す様子は、まるで自分の娘の話をする母親のようだった。後藤家の人たちが心の底から姫だるまのことを可愛がっているからこそ、たくさんの人に求められ、受け継がれているのだと感じた。この動画ニュースを見た人に、姫だるまの歴史や魅力、そして後藤家の思いが伝わることを願う。
プロデューサー:小島康史
監督:岡田奈々佳
発注者:大分合同新聞社
ロケーション:大分県竹田市
尺:3分22秒
制作年:2021

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