観光映像について

観光映像について

観光映像は「観光地や観光サービスを紹介する映像」の意味で広く理解されています。古くは観光ホテルを紹介するCM、2000 年頃からよくみられるようになったふるさとCM、そして2010 年頃から盛んになった移住促進映像なども広い意味では観光映像です。

日本ではショートショートフィルムフェスティバルが開催する「観光映像大賞」が広く知られ、ぐろ~かるCM 研究所が主催する「ぐろ~かるCM 大賞」もインパクトのある地域発信映像を多く紹介しています。最近では地域活性化センターが主催する「地域プロモーション大賞」も地域の魅力発信の手段としての賞を選んでいます。これ以外にもCM としてならばACC をはじめ多くの広告賞がありますし、県単位では石川県や鹿児島県などでふるさとCM 大賞も選ばれたりしています。

これらの映像祭はすべて個性的で映像の祭典として大きな役割を担ってきました。しかし、そもそもの観光映像の目的は何なのか。それは地域の持続的な発展に寄与するための観光、それの促進なのです。地方と持続的な観光、世界的な観光プロモーション、これら3つの要素を踏まえた観光映像のコンテストは多くありません。

持続的な観光のためには、デジタルマーケティングがしっかりとなされなければなりません。まずはデータに基づき観光戦略を描く。それを広く伝える、もしくは地元の人たちに方針を明確に伝えるために観光映像は作られます。そして、同時にその映像がどれだけ人々に受け入れられているのか、それもデータで読めるのです。そして観光映像からWeb への誘導、EC サイトや予約サイトへの連携。これらがこれからは求められる観光映像です。

CIFFT ネットワーク加盟映像祭のディレクターたち

日本国際観光映像祭は世界の観光映像祭ネットワークに所属している唯一の映像祭です。世界から観光映像が日本に届き、その受賞のニュースが世界の観光映像祭に届き、日本の観光映像が世界の観光映像祭で受賞し、それが大きなニュースとして日本に帰ってくる。ネットワークを活用し、確かに海外に届き、そして誘客につながる観光映像が日本からどんどんと生まれるべきです。

観光映像とはなにか、その明確な答えはありません。しかし、人類のための必要な観光とは何か、それを観光映像でどう描くか、その模索は今も世界中で行われています。

執筆者プロフィール

木川剛志

日本国際観光映像祭総合ディレクター
和歌山大学観光学部教授

1995 年京都工芸繊維大学造形工学科入学。在学時よりアジアの建築、特にジェフリー・バワに興味を持ち、卒業後はスリランカの設計事務所に勤務する。2002 年UCL バートレット大学院修了。2012 年に福井市出身の俳優、津田寛治を監督として起用した映画「カタラズのまちで」のプロデューサーをつとめたことから映画製作に関わるようになる。監督として2017 年に短編映画「替わり目」が第9 回商店街映画祭グランプリ、2020 年にドキュメンタリー「Yokosuka1953」がReykjavikVisions Film Festival 最優秀長編ドキュメンタリー映画賞、Vesuvius International Film Festivalにて最優秀ドキュメンタリー脚本賞などを受賞。観光映像では須藤カンジを監督に起用しプロデューサーと撮影をつとめた「Sound of Centro」がART&TUR 国際観光映像祭でポルトガル観光誘客(都市)部門最優秀作品賞。2019 年より日本国際観光映像祭実行委員会代表、総合ディレクターをつとめている。