日本国際観光映像祭では、第3回大会より ART & FACTORY JAPAN を開催しています。
このプロジェクトは、映像祭の開催地や、その時々に応援したい地域を舞台に、国内外で活躍する映像作家たちが新たな観光映像を制作するプロジェクトです。参加するのは、日本国際観光映像祭で受賞経験を持つ作家を中心としたクリエイターたち。それぞれの視点と感性で地域を見つめ、その土地ならではの魅力や物語を映像として描き出します。
観光映像は、単なる観光PRではありません。地域の文化や歴史、人々の暮らしや営みを映し出し、新たな視点から地域の価値を世界へ届ける表現でもあります。映像作家が地域に滞在し、人々と出会い、その土地の空気を感じながら作品を制作することで、自治体だけでは生み出すことのできない、新しい地域の物語が生まれます。
2026年は、第8回日本国際観光映像祭の開催地である滋賀県甲賀市、そして震災からの復興を応援したい能登半島を舞台に映像制作を行いました。
それぞれの作家が、それぞれの方法で地域と向き合い、全く異なる表現で作品を完成させています。ぜひご覧ください。
ちゃんちき堂、能登へ行く
「ちゃんちき堂、能登へ行く」、こちらは昨年開催の真庭大会のファクトリーでグランプリを撮られた映像作家、粂田剛さんの作品です。
概略は以下のようなものです。
東京にあるシフォンケーキ店の店主と、能登半島地震の被災地の人々の交流を描く。
東京・青梅でシフォンケーキ店を営む、ちゃんちき堂のテツさん。
工房で焼いたケーキをリヤカーに載せ、街を売り歩くのが彼の商売のやり方だ。
歩くルートは風任せ、だから偶然出会った人たちから「幸運のシフォンケーキ」なんて呼ばれたりもする。
そんなテツさん、2024年1月1日に起きた能登半島地震の被害に心を痛めていた。
「何か自分にできることはないか?」考え、調べた末、能登・穴水町甲地区の栗農家に辿り着く。連絡を取り、実際に栗農園を見に行った。そして、その栗を仕入れ、シフォンケーキの材料に使うことを決めた。そうすれば定期的に支援することができるからだ。
その後も、現地で月1回行われる『復興カフェ』に参加したり、甲地区に係る人たちを青梅に読んで交流会を開いたりと、支援を続けていた。
一方、被災後人口が半分以下になった甲地区では、復興の道筋がなかなか見出せずにいた。
のと鉄道の廃駅を改装しカフェにする計画が進むものの、上手くいくかは分からない。
2025年12月、1年ぶりに現地を訪れ、そんな甲地区の現状を見たテツさんは、ある決意をする――
しあわせなら最初から
映像作家・仲村淳さんによる作品です。
舞台となる「やまなみ工房」は、滋賀県甲賀市にある福祉施設で、世界的にも高い評価を受けるアール・ブリュット作品を数多く生み出しています。
障害の有無を超えて、一人ひとりが創作と真摯に向き合う姿を丁寧に描きながら、「表現すること」と「生きること」の豊かさを静かに伝える作品です。甲賀という土地が持つもう一つの文化的な魅力を、美しい映像で映し出しています。
甲賀鼓動 | Koka Beat
シネマティック映像で高い評価を受ける映像作家・石田裕一さんによる作品です。
滋賀県甲賀市に伝わる、修験道、忍者、信楽焼の伝統工芸、忍玉太鼓、お茶畑や土地の風景。 一見バラバラに見えるこれらの営みを、「研鑽」という共通の視点で切り取った短編映像です。
「手」や「足」の細かな所作と、現場の環境音を軸に編集し、甲賀の地に根付く独特のリズムを視覚化しました。観光スポットの紹介ではなく、この土地に流れる空気感や、人々の動作に宿る質感にフォーカスしています。
石田さんは、本作品の制作過程を記録したメイキング映像も制作してくださいました。作品がどのように生まれたのか、ぜひあわせてご覧ください。
甲賀市忍者末裔課
こちらは第2回日本国際観光映像祭でSpecial Awardsを受賞した「あるある直島」の監督、福島真希さんの作品です。
甲賀市を舞台に、「忍者の末裔が今もいる」というユニークな設定で展開するストーリー仕立ての観光映像です。軽快なテンポとユーモアの中に、甲賀の風景や文化、忍者の魅力が巧みに織り込まれ、エンターテインメントとして楽しみながら地域の魅力に触れることができます。
受賞作品
今年は4本の作品が完成し、その中から審査員による審査と来場者投票により受賞作品が決定しました。
グランプリ

「甲賀市忍者末裔課」 福島真希監督

観客賞

甲賀鼓動 石田裕一監督

どの作品も、同じ地域を舞台としながら、映像作家それぞれの視点によって全く異なる物語が生まれています。それこそがART & FACTORY JAPANの魅力であり、日本国際観光映像祭が目指す「映像による地域との新しい出会い」の形です。
次の映像祭でもART&FACTORY JAPANを開催予定です。次はどんな物語は生まれるのか。楽しみです。


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