JWTFF2024

第6回日本国際観光映像祭、阿寒へ アイヌ文化から学ぶこれからの生き方

 映像は人々の感性に直接語りかけ、そして、メディアを通じ多くの人々に同時に届きます。だからこそ、地域が疲弊し、しかしながらそこには確かに残る“地域の魅力”を活用して、観光客を誘致し蘇らせる、リジェネラティブ(再生)には、映像の力が必要です。

 観光映像はこのような日本の再生のために活用すべきツールです。今も全国津々浦々で観光映像が制作され、私たちに地域の魅力を伝えてくれます。しかし、この映像の作り方、使い方にはまだまだ改善の余地があります。新型コロナウイルスの拡大が始まる前、全国で広がる観光の投資の中で、多くの観光映像が制作されましたが、一方で問題のある映像も多く生まれました。それは観光映像が、商業CMとも映画とも違う、一つの確立すべきジャンルであるにもかかわらず、観光映像を専門とする映像作家が少ないからです。事実、諸外国にはフランスやスペインといった、観光で生きることを選んできた国があり、それらの国では観光映像のあり方は数十年にわたって議論されてきました。日本が観光で生きていくことを決めた国となった今、観光先進国から観光映像のあり方を学び、同時に国内の映像作家を観光業界をあげて育成する必要があります

 日本国際観光映像祭(JWTFF)は、このような背景から2019年から始まった映像祭です。2020年に、UNWTO(国連世界観光機関)が認定する国際観光映像祭ネットワークCIFFTに正式加盟し、アジア唯一の構成映像祭として、日本の映像だけではなく、アジアの観光映像を世界に紹介する役割も期待されています。本映像祭では、日本の優れた観光映像を表彰するとともに、世界から届いた最先端の観光映像を紹介してきました。

 世界で再び、観光が拡大しています。日本各地にも多くの国内外からの旅行客が訪れ、活気に溢れています。しかし一方で、観光には矛盾があります。観光は観光地の持続的な発展に寄与しますが、その発展はどこに向かうのでしょうか。経済的価値と社会的価値、その相互の円滑な発展のあり方が今、問われています。世界で観光が拡大する今、地域文化を発展させるための観光とは、観光業と地域の適切な関係とは何か。それを映像祭を通じて議論することが今年のテーマです。

 2024年3月、私たちの映像祭は北海道釧路市阿寒で開催します。この地にはアイヌコタンがあり、訪れた人々は豊かな自然とその自然に生きてきたアイヌ文化を学ぶことができます。観光のあり方が問われる今、この地で学び、そして世界の人々とこれからを語り合う映像祭を開催します。

開催日:2024年3月13日(水)〜 2024年3月15日(金)
会場:北海道釧路市阿寒

13th March 2024 to 15th March 2024.
Akan, Hokkaido, Japan

Jury Presidents

Kyung Wook Seo
福島真希

Team

Tsuyoshi Kigawa
Kumiko Yamashita
Kaori Matsubara

Journal of JWTFF

観光映像についての評論や研究報告などは、Journal of JWTFFのページに掲載されています。
こちらのページにもぜひいらしてください。